特殊仕訳帳の目的
簿記の基本的流れは「取引の発生」⇒「仕訳をする」⇒「総勘定元帳に転記」⇒「試算表を作成する」⇒「精算表を作成する」⇒「損益計算書と貸借対照表の完成」です。ここで最もミスが生じやすいのが「総勘定元帳に転記する」ときです。この転記ミスを減らすために考え出されたのが特殊仕訳帳です。つまり、転記の回数を減らせば良いと考えたのです。
特殊仕訳帳の仕組み
特殊仕訳帳の構造
特殊仕訳帳は、「親勘定」「特別欄」「諸口欄」から構成されています。「親勘定」とは、特殊仕訳帳の名称の一部になっている勘定をいいます。たとえば、現金出納帳なら現金勘定、受取手形記入帳なら受取手形勘定が親勘定になります。「特別欄」とは、親勘定の相手科目を示しています。たとえば、現金出納帳なら売上勘定などです。現金勘定の相手勘定として多く出現する勘定を特別欄にします。
特殊仕訳帳の記入と転記
「親勘定と特別欄からは総勘定元帳に合計転記し、諸口欄からは個別転記します。」これが基本です。個別転記とは、取引の都度、総勘定元帳に転記することをいいます。合計転記とは、1か月分の合計額をまとめて総勘定元帳に転記することをいいます。
設例
現金出納帳を特殊仕訳帳として使っています。特殊仕訳帳には、特別欄(売上)と諸口欄があります。
取引を仕訳として示すと次のようになります。
〇月1日(現金)500(売上)500
現金勘定が出現しているので現金出納帳に記入します。そのとき特別欄(売上)にも記入します。
〇月2日(仕入)200(買掛金)200
現金勘定が出現していないので普通仕訳帳に記入し、総勘定元帳に転記します。
〇月3日(買掛金)100(現金)100
現金勘定が出現しているので現金出納帳に記入します。そのとき諸口欄にも記入して、総勘定元帳の買掛金のページに転記します。
〇月末日に特別欄(売上)の合計額を総勘定元帳の売上のページに転記します。同様に現金の合計額を総勘定元帳の現金のページに転記します。
(以下省略)