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サブリース契約と宅建試験

サブリース契約とは何か

内容

サブリース契約とは、不動産の有効活用を目的として不動産所有者と不動産賃貸管理業者が不動産の転貸を利用して利益を上げていく取引形態をいいます。

具体的には、不動産所有者(オーナー)が、自分の土地にマンションなど賃貸建物を建設し、不動産管理業者が一括借り上げをします。一括借り上げをした物件を一般消費者に転貸するのです。オーナーにとっては十分で賃借人を探したり管理する必要がないメリットがあり、不動産管理業者は賃料などの利益が確保できるメリットがあるわけです。

法的性質

サブリース契約の法的性質について、サブリース契約は賃貸借契約ではなく、事業委託契約又は共同事業契約だとする説もありましたが、最高裁判所は「サブリースにおいても不動産所有者(オーナー)が不動産賃貸・管理業者(デベロッパー)に賃貸物件を使用収益させ、不動産賃貸・管理業者から不動産所有者に対価として賃料が支払われるのであり、賃貸借の要素(目的物賃貸の合意、賃料額の合意、返還時期の合意、目的物の引き渡し)を充たしていてサブリースは賃貸借にほかならない」と判旨しています。その結果、借地借家法の適用を受けることになったのです。

権利関係(民法)

民法は、転貸(また貸し)を原則として禁止していますが、賃貸人の承諾を条件に転貸を認めています。

不動産所有者の承諾があれば不動産賃貸・管理業者は転貸をすることができます。

権利関係(借地借家法)

最初に借地借家法は、民法と異なり借主保護を目的としていることに注意する必要があります。

つまり、法的情報の多い不動産賃貸・管理業者を保護することになります。

借地借家法32条によれば、建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の賃貸に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の増減を請求できます。ここで注意すべきは「契約の条件にかかわらず」という文言です。一定期間借賃を減額しない旨を特約しても認められないのです(一定期間増額しない旨の特約は認められます)。たとえば、向こう20年間家賃を月額50万円とする契約をしても経済事情の変動などによって減額され得るのです。

おわりに

もし、オーナーたちが宅建試験の受験勉強をしていたら結果は異なったのではないかと思うのは筆者だけだろうか?

以上、宅建試験受験生のモチベーション維持に役立てば幸いです。

なお、サブリース契約に関連して2020年6月に「賃貸住宅管理業法」が成立しています。