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「当社負担の発送費」と「先方負担の発送費」の仕訳の違いと、その理由(簿記講座)

1⃣新収益認識基準

収益認識基準とは、いつ収益を認識するかという問題です。

例えば、売上という収益の場合を考えてみると

1.商品を発送した時に、貸方売上と仕訳する

2.商品が相手方に到着した時に、貸方売上と仕訳する

3.相手方が代金を支払った時に、貸方売上と仕訳する

どれを採用するかという問題をいいます。

 

平成30年3月30日企業会計基準委員会が出した収益に関する会計基準(新収益認識基準)によると「履行義務を充足した時に収益を認識する」としています。

例えば「売主甲は商品を買主乙に販売し送料は乙負担とし、対価は12,000円とする」という契約を締結したとします。

このときの「履行義務」は甲が商品を売り渡し、乙に発送することです。

甲が実際に、商品を発送すれば「充足」したことになり、貸方売上12,000と仕訳することになります。

2⃣発送費を当社(売主)負担とする場合

例題

甲は、商品10,000円を乙に掛けで販売し、発送費2,000円は当社負担として現金で運送会社に支払った。

←この場合の「履行義務」は商品を乙に販売し、発送することであり、その対価は10,000円である。

(売掛金) 10,000 (売上)10,000

(発送費)  2,000 (現金) 2,000

 

参考として、従来の方法による仕訳を示しておきます。

(売掛金) 10,000 (売上)10,000

(発送費)  2,000 (現金) 2,000

 

3⃣発送費を先方(買主)負担とする場合

例題:

甲は、商品10,000円を乙に掛けで販売し、発送費2,000円は先方負担として現金で運送会社に支払った。

←この場合の「履行義務」は商品を乙に販売し、発送することであり、その対価は12,000円である。

(売掛金) 12,000 (売上)12,000

 (発送費)  2,000 (現金) 2,000

←相手方が売掛金12,000円を支払ってくれれば、発送費2,000円を相手方が実際に負担することになります。

 

参考として、従来の方法による仕訳を示しておきます。

(売掛金) 12,000 (売上)10,000

 

          (現金) 2,000

4⃣暗記のポイント

➊自社負担の発送費は、売上(収益)に含めない。

➋先方負担の発送費は、売上(収益)に含める。